病理検査とは何を調べているのか、不思議に思ったことはありませんか?当案内では病理検査と当院の病理診断科についてご紹介させていただきます。
まず病理検査とは大きく「組織診断」「細胞診断」「剖検(病理解剖)」の3本柱にて成り立っています。その中でも特に「組織診断」は患者さまの治療に直結する業務になります。
組織診断とは、患者さまの体の一部から得られた検体(組織または細胞)を用いて、理科の実験で使われるプレパラートと呼ばれるガラスの上に薄く切られた検体を載せ、色付けを施し、顕微鏡にて観察を行う検査になります。
臨床検査技師が標本を作製し、病理医が診断をするという、医師と技師がタッグになって行う業務になります。
細胞診断とは、尿や喀痰(かくたん)、子宮腟部や体部、乳腺穿刺材料を用いて調べる検査で、こちらも顕微鏡を用いて診断を行っていきます。これは細胞検査士という認定資格をもった専門スタッフがスクリーニング(標本中に異型細胞がいないかを調べる作業)を行います。材料によって組織診断と同等の診断精度を誇ります。
剖検とは、院内で亡くなられた患者さまのご遺体について、ご遺族の同意を得たうえで、死因の究明や治療効果の検証を目的として行われます。剖検を行うことは、診断技術や治療法の向上、同様の病気の治療成果を上げることに繋がっています。
いずれの検査でも、5×2㎝程度のプレパラート1枚から様々な情報が得られます。「炎症」なのか、「がん」なのか、または「感染症」なのか。HE染色呼ばれる基本的な染色のほかにも、特殊染色や免疫化学組織染色と呼ばれる、目的の細胞のみを染める染色を行い、さまざまな角度から検討を行い、診断を確定させていきます。最近では外注検査にはなりますが、遺伝子検査も行われるようになりました。
当院の病理診断科スタッフは臨床検査技師4名(うち、細胞検査士3名)と非常勤医数名(大学や医療機関からの出張)で構成されています。年齢構成も若く、フレッシュな職場です。
当科の業務内容は基本的な病理業務(組織診断、細胞診断、剖検)が主たるものになります。その中でも細胞診断においては、すべての症例でダブルチェックを常として、精度の高い診断精度を目指しています。場合によってはサードチェックまで行います。
病理検査で働く臨床検査技師は患者さまと接することがほとんどない職種ではあります。しかしながら、影では院の理念でもある「心ある医療」を実践すべく、日々業務を遂行しております。
医師紹介
中里 信一
病理診断科医長 群馬大学医学部 平成21年卒- 所属学会
- 指導医等の資格
日本病理学会 病理専門医
日本皮膚科学会 皮膚科専門医
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
- その他
松野 吉宏
臨床顧問(非常勤) 北海道大学医学部 昭和58年卒- 所属学会
- 指導医等の資格
日本病理学会 病理専門医、病理専門医研修指導医、分子病理専門医(暫定)
日本病理学会 学術評議員
日本臨床細胞学会 細胞診専門医
日本リンパ網内系学会 評議員
日本肺癌学会 特別会員
ほか
- その他
昭和62年 国立がんセンター研究所病理部
平成10年 国立がんセンター中央病院臨床検査部 医長
平成18年 国立がんセンターがん対策情報センター臨床試験・診療支援部 室長
平成19年~令和5年 北海道大学病院病理部 部長・教授
平成26年~令和5年 北海道大学病院 病理診断科 教授
令和6年~現在 国立病院機構北海道がんセンター パソロジーセンター長