検査科

検査科の紹介

医師が病気を診断し治療していくためには患者さまのからだの状態を知らなければなりません。

検査科が担っている臨床検査は、医師が病名を確定したり治療方法を決める上で正確な判断材料を提供し、医学的な診断に欠かせない役割を果たしています。

また、治療経過の確認や重症度の判定、回復の度合いを調べることにも役立っています。

臨床検査は大きく分けて、血液や尿・便・喀痰や採取された臓器など(これらを検体と呼びます)を化学的あるいは形態学的に検査する検体検査と装置を使って患者さまの体に直接触れて調べる生理機能検査の2種類があります。

生理機能検査には身体を流れる電流を調べる心電図検査・脳波検査や超音波を当てて身体内の臓器の状態を調べる心臓エコー・腹部エコー検査などがあります。

これらの業務に携わっているのが臨床検査技師です、

現代の医療はチーム医療を基本としており、医師を中心に各専門職がひとつになって患者さまの診断・治療・回復にあたっています。 私たち検査科スタッフもチームの一員として日々研鑽を積んでいます。

検体検査部門

365日24時間体制で、信頼性の高い検査データを迅速に報告しています。一部の検査を除き検体到着後60分以内で結果報告する体制をとっています。 また、検体前処理分注装置を導入し、採血管および患者さまからの採血量を減らす取り組みを行っています。

生化学・免疫検査

肝機能・腎機能・血糖・脂質検査、ホルモン検査、感染症検査、血中薬物濃度検査、腫瘍マーカー検査などを行っています。

血液検査

血球計算、血液像検査、凝固線溶検査、骨髄像検査を実施しています。

血液像検査は標本を作製し、鏡検により白血球分類を行っています。

一般検査

尿検査(定性・沈渣)、髄液検査、便検査、穿刺液検査を行っています。

生化学・免疫検査

血液検査

一般検査

生理検査部門

心電図検査

心臓は収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出しています。その際に心臓の筋肉から発生する電気信号を波形として記録したのが心電図です。

不整脈や狭心症、心筋梗塞、心臓肥大などの診断に役立ちます。

ホルター心電図検査

携帯型の心電計を身体に装着して24時間心電図を連続記録します。 長時間心電図を記録する事で、短時間の検査では検出できない不整脈や、胸部症状があったときの波形の記録に役立ちます。

呼吸機能検査

大きく強く息を吸ったり吐いたりして、呼吸器の病気の有無や重症度を調べます。 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、肺線維症、気管支喘息などの呼吸器の病気の診断や、治療効果の判定、全身麻酔での手術が可能かの判断などに用いられます。

血圧脈波検査

両上腕と両足首の血圧を同時に測定し、波形を解析することで、下肢の血管の硬さや詰まり具合を知ることができます。

動脈硬化の進行度の判断、閉塞性動脈硬化症の診断の指標として有用です。

エコー検査(超音波検査)

体表から超音波を当てて、臓器や組織に当たって反射したものを画像処理し、身体の状態を調べる検査です。

心臓・腹部・乳腺・血管等、幅広い領域のエコー検査を行っています。

心エコー検査

心臓の大きさ、動き、弁の状態、血行動態などを調べます。心筋梗塞、弁膜症、先天性心疾患などの評価に有用です。

腹部エコー検査

肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、脾臓などの臓器や血管に異常がないかを調べます。

乳腺エコー検査

乳腺内の腫瘤(しこり)の有無や性状などを調べます。検査科では女性の臨床検査技師が担当しています。

血管エコー検査

血管壁の状態を観察したり、血流情報を計測し評価します。主な部位は腎動脈、頸動脈、下肢動静脈などです。

その他エコー検査

甲状腺、泌尿器科領域等、幅広い領域の検査を行っています。

脳波検査

脳の電気活動を波形として記録します。頭部に電極を装着し検査を行います。必要に応じて開閉眼、過呼吸、光刺激、睡眠中の脳波を記録します。

てんかん、脳血管障害、意識障害などの診断に有用です。

耳鼻科領域検査

聴力検査・ティンパノメトリー・耳小骨反射・重心動揺検査・聴性脳幹反応など難聴、中耳炎、顔面神経麻痺、めまいの診断に必要な検査を行っています。

その他、補聴器をお買い求めの際の検査も行っています。

神経伝導検査

手や足の神経を電気で刺激して、刺激が伝わる速度の測定および波形の分析を行います。

手足のしびれ、力が入りにくい等、神経障害の診断に有用です。

輸血検査部門

輸血とは貧血や出血により血液成分(赤血球、血小板、凝固因子)の機能や量が低下した場合に血液製剤で補充する治療法です。体内組織への酸素の供給や止血、出血の予防ができます。

輸血検査では輸血検査と血液製剤の管理を行い、安全で適正な輸血が行われるように24時間体制で緊急輸血にも対応しています。

輸血検査

安全な輸血を実施するために、主に全自動輸血検査装置で検査を行っています。

血液型検査
ABO式血液型とRh式血液型を検査します。輸血を行うためには通常、同じ血液型の血液製剤を準備します。
不規則抗体検査
ABO式血液型以外の血液型に対する抗体を調べます。主に輸血歴や妊娠歴のある方から見つかります。 抗体がある場合は、種類を調べ、副作用の起こらない血液製剤を選びます。
交差適合試験
血液製剤と患者さまの血液を混ぜ合わせ、安全に輸血できるかどうか適合性を確認する検査です。

血液製剤管理

輸血管理システムを使用し、血液型の照合、血液製剤の入庫・出庫を行い、適切な条件で血液製剤の保管管理を行っています。

赤血球濃厚液
出血や貧血がある場合に使用します。臓器・組織への酸素の供給が目的です。
新鮮凍結血漿
凝固因子の補充により、出血の予防や止血の促進効果をもたらすことが目的です。
血小板濃厚液
血小板成分の補充により、止血を図り、出血を防止することが目的です。

自己血輸血

手術が予定されている患者様を対象に、自分の血液を予め採血し、輸血に用いることで副作用や感染症を回避することができます。

輸血検査室では自己血採血の補助業務と製剤管理業務を行っています。

輸血委員会

院内で安全かつ適正な輸血療法を推進していくことを目的に、年6回以上の輸血委員会を開催しています。

  • 輸血療法の適応、輸血実施手順や緊急輸血など輸血業務の運用検討
  • 遡及調査や日本赤十字社からの輸血関連の情報提供
  • 院内採血や自己血輸血などの検討

など

輸血用血液製剤は献血によって作られています。近年、安全性は格段に向上していますが、免疫反応による副作用や感染症が生じる危険性が未だにあります。

万が一、重篤な副作用が起きた場合は救済制度があります。

関連リンク

救済制度相談窓口の電話番号

《生物由来製品感染等救済制度(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)》

細菌検査部門

細菌検査は感染症の診断・治療に欠かせない大切な検査です。

細菌検査室では病気を起こしている病原菌を特定し、どのような治療薬(抗菌薬)を使えば効果があるのかを調べています。 検査に用いる材料(検体)は喀痰・尿・便・血液・膿など体内のあらゆるものを対象としています。

塗抹染色検査

検体をスライドガラスに薄く塗り広げ染色して顕微鏡で観察します。

どんな菌が存在するか、炎症反応があるのかを推定します。

培養検査

培地と呼ばれる寒天上に菌を発育させて肉眼で観察できる細菌の塊(コロニー)を形成させます。 発育には通常、1~2日を要します。

同定検査

培地上のコロニーから病原菌を推定し、その菌の性状を調べ菌の名前を決定します。

薬剤感受性検査

病原菌に効力のある抗菌薬を調べます。 菌の種類によって有効な薬剤が異なるためいろいろな種類の薬剤を組み合わせて調べます。 結果判定には1~2日を要します。

迅速検査

検体から直接病原体(抗原)を検出する方法です。代表的なものにインフルエンザウイルスや溶レン菌、RSウイルス、アデノウイルス、マイコプラズマなどがあり、10種類程の検査を行っています。 検査時間は10~30分程度で迅速に結果を報告しています。

迅速検査

すべての生物にはDNAやRNAという4種類の塩基が一定の配列で並んでいるものがあり、この中の実際に使用される部分を遺伝子と呼び、身体をつくる設計図の役割をしています。

核酸増幅検査ではPCRやLAMP法という遺伝子の特定部位を大量に増幅する技術を利用し、微量な検体から病気の原因と成り得るウイルスや細菌の遺伝子を検出することで、高感度で信頼性の高い結果を迅速に報告しています。 当院では新型コロナウイルス、結核菌、非結核性抗酸菌の検査を実施しています。

院内感染対策

細菌検査室では、患者さまから検出された菌の情報を管理しています。 院内感染対策チーム(ICT)の一員として情報発信し、院内感染防止に努めています。

学生の臨地実習について

当検査科では、臨床検査技師を目指す学生の臨地実習を受け入れています。充実した臨地実習実施のための指導およびサポートを行います。