
当科は1994年6月の開設以来、北海道大学循環器外科のバックアップを受け、道南における心臓血管外科領域の基幹施設として活動する一方、日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本血管外科学会の関連施設としても活動しています。また2013年7月より日本心臓血管外科学会会長などを歴任された著名な川副浩平先生を顧問として迎えて診療にあたっております。

単独冠動脈バイパスに対しては、基本的には全例、より低侵襲な人工心肺を用いないバイパス手術(オフポンプバイバス術、OPCAB)を行なっています。しかし虚血性僧帽弁閉鎖不全、左室瘤、虚血性心筋症などの心筋梗塞合併症を併発した虚血性心疾患に対してはバイパス手術に加えて積極的に弁形成術・左室形成術を併せて行い術後のQOL・遠隔成績を高める治療を行なっております。

基本的には自己弁を温存する弁形成術を念頭に置き治療を行ない、また心房細動を伴う症例には積極的に不整脈手術を追加して治療を行なっています。
僧帽弁
僧帽弁閉鎖不全症に対しては、ほぼ全例に遠隔成績がより良好な自己弁を温存する弁 形成術を行い良好な結果を得ています。弁形成術の術後は基本的には抗凝固療法を受ける必要がなくなり、術後快適に生活されています。
大動脈弁
生体弁の成績向上に伴い、基本的には高齢者には術後凝固療法が不要になる生体弁による人工弁置換術をおこなっており、若年者にはより耐久性のすぐれた機械弁を用いた弁置換術を行なっています。また症例によってはこの領域ではまだ難しいとされている弁形成術にも積極的に取り入れ良好な結果を得ています。

当院のNICU・未熟児センターからの要望もあり、2003年7月より先天性心疾患に対する手術を行なっています。道南圏の先天性心疾患はまず当院小児科に集まることもあり、これらの方々を当科で治療し、当院小児科にて術後のフォローがなされています。道南圏の患者を当院で治療できることは、患者を含めた家族の方々の負担を軽減できていることと思われます。

胸部大動脈瘤,解離性大動脈瘤手術は現代でもリスクの高い手術の一つです。診断から手術まで、一貫して当科で担当しており、破裂などの緊急手術にも対応しております。また、大動脈基部拡張症に対しても大動脈弁を人工弁に置換する大動脈基部置換術(Bentall手術)や、自己弁温存手術(Yacoub手術,David手術)も行なっており、良好な成績をおさめております。

腹部大動脈瘤に対しては基本的には手術を第1選択としていますが、周術基リスクの高い症例では血管内治療(ステントグラフト内挿術)を行なっています。
近年増加している閉塞性動脈硬化症(PAD)に対しては、診断から治療まで一貫して当科で行なっています。手術だけではなく、カテーテルを用いた血管内治療も積極的に取り入れ治療にあたっております。

下肢静脈瘤、血栓性静脈炎、深部静脈血栓症に対しても診断・治療を当科で担当しております。
以上のように当科では小児から高齢者までの幅広い年齢層の心臓・血管疾患の治療を行っております。基本方針として①低侵襲、②確実な治療効果、③QOL(より質の高い日常生活活動)の回復が早い方法を選択するようにしております。
函館中央病院心臓血管外科では、心臓手術、血管手術、カテーテル・ステントを用いた末梢血管治療、DVTの予防・治療などを新生児から超高齢者まで幅広く行っています。
当院では心臓血管外科は3名の医師で診療にあたっています。
当科での研修の魅力は、なんといっても『chance』が多いことでしょう。
経験豊富な上級医から直接、手術手技や検査手技、日常診療の指導を受けることができるのはもちろん、経験した手術は将来、外科や心臓血管外科の専門医取得に向けての必要症例数にカウントすることができます。
大人数の施設では初期研修医がきても、大勢の中の一人として、なかなかchanceが巡ってこなかったり、せっかくやる気があっても指導医側に余裕がなく存在しているだけでなんとなく研修期間を過してしまうなどということもおこりえます。
当科での研修は、見て覚え、さらに実践へと発展的な研修を積むことができます。また、自分が行った加療については上級医から貴重なアドバイスを頂けますし、bestを尽くしたうえで失敗しても、十分な反省の後、さらにより良い医療を提供できるよう研鑽を積むことができる環境が整っています。将来、心臓血管外科を目指す方はもちろんのこと、どんな科に進む方でも、必ずやここでの経験があなたの力になると思います。
医療者にとって手術は時に「辛く、怖い」ものですが、それ以上に患者さんの病気を良くすることのできる「楽しい」ものです。
函館という魅力的な土地、あたたかな人たちの中で、より良い医療を目指し研修してみませんか。ぜひ検討してみてください。
(心臓血管外科 大久保医員)
時間帯 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
午前 | 9:00-11:30 | 手術 | 本橋 佐藤(一) 東 (10:00~) |
本橋 佐藤(一) |
本橋 (AM10:30まで 予約のみ) 手術 |
本橋 佐藤(一) |
交替制 |
午後 | 2:00-4:00 | 手術 | 手術 | 交替制 検査 |
手術 | 東 |
お知らせ
◎心臓血管外科外来では、30分毎の「予約時間制」での診察となっております。ご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
◎火曜日の午後は休診となりますのでご了承ください。
外来休診情報
本橋雅壽 医師
①10月30日(水)~ 11月2日(土)不在です。
②11月22日(金)不在です。
佐藤一義 医師
10月29日(火)~ 11月2日(土)不在です。
東亮太 医師
①10月26日(土)不在です。
②10月29日(火)~ 11月2日(土)不在です。
※10月30日(水)~ 11月2日(土)は医師不在の為、休診とさせて頂きます。ご了承願います。
本橋 雅壽 (もとはし まさとし)
病院長
北海道大学医学部 昭和58年卒業
専門分野
心臓血管外科
主な経歴
昭和58年 | 北大第2外科入局 |
平成5年~平成7年 | フランスHenri-Mondor病院 |
平成8年~平成17年 | 函館中央病院心臓血管外科 |
平成17年~平成19年 | NTT東日本札幌病院心臓血管外科 |
指導医・認定医・専門医
日本心臓血管外科学会国際会員
心臓血管外科専門医・修練指導医
日本胸部外科学会評議員
日本外科学会専門医・指導医
医学博士
ひとこと
9年間函館中央病院勤務後、NTT東日本札幌病院で2年間、今回再び当院に戻ってきました。 道南地区の心臓血管外科のために努力していきたいと思います。
佐藤 一義(さとう かずよし)
診療部長
北海道大学医学部 昭和62年卒業
専門分野
後天性心疾患
主な経歴
昭和62年6月 | 王子総合病院 |
昭和63年 | 小樽協会病院 |
平成1年6月 | 美唄労災病院 |
平成2年6月 | 北海道大学病院 |
平成4年6月 | 市立旭川病院 |
平成5年 | 北海道大学病院 |
平成6年 | 市立釧路総合病院 |
平成7年 | 函館中央病院 |
平成8年 | 小樽循環器病院 |
平成11年 | 国立函館病院 |
指導医・認定医・専門医
日本外科学会専門医・認定医
日本胸部外科学会認定医
ひとこと
東 亮太(あずま りょうた)
心臓血管外科医長
北海道大学医学部 平成26年卒
専門分野
心臓血管外科
主な経歴
指導医・認定医・専門医
ひとこと
砂土居 泰生(すなどい ひろき)
心臓血管外科医員
北海道大学医学部 平成29年卒
専門分野
心臓血管外科
主な経歴
指導医・認定医・専門医
ひとこと